ACフォーラム3セッション目は、三寺雅人(ビーコン・コミュニケーションズ)さんとアーチャー み香(MS&L Japan)さんよる『 行政・市民を巻き込んだ広告+PRプロジェクト「夕張夫妻」物語 』。
これは、2007年に財政破綻した北海道夕張市の復興プロジェクトに関してのセッション。
夕張市は353億円という負債を抱えて財政破綻をしたことは当時各新聞で話題にもなった。
これにより市の職員は大幅にカット。市長自身の給与も18万という散々な状態にまで落ち込んだそうだ。
そもそもこの夕張市というのは 空知支庁南東部の山あいに位置し過去に夕張炭鉱があり、 明治初期から炭鉱の町として栄え、空知地方でも特に多くの石炭を産出してきた。
しかし、 夕張は炭鉱によって生まれた町であり、農業にも向かない地域だった故に石炭産業以外の産業はほぼ皆無だった。そのため雇用問題として若者が都市へ流出し。そして人口が激減したことで夕張市は高齢者だけが残る現在の姿へと変わってしまった。
そんな夕張市は、中田前市長時代に「炭鉱から観光へ」とテーマパークやスキー場の開設、そして映画祭などのイベントの開催などを行ってきたがどれも振るわなかった。しかし、 派手な観光・レクリエーション投資を行った過大な投資や放漫な経営が累積赤字として積み重なり、結果、市の財政破綻へと至った経緯がある。
そこで立ち上がったのが、三寺氏とアーチャー氏。
持ち込み企画で2007年8月に「夕張リゾート」を通じて市へとコンタクトにつながっていく。。
この時、財政破綻したことを前向きにドンドンと活用してしまおう、という発想の転換を提案だった。
そこで生まれたのが、「夕張負債=夕張夫妻」
- 「自虐を笑いにしてしまう話題」。
- キャラクターを作ることで、観光名所やグッツ販売につなげる。
- これらを使って、市民が自活して元気になること。
ここには、「お金はないが、愛がある」という意味も含めて夫妻にしている。
これがキャペーンの主体テーマになっていく。
まず活動として行ったのは、各施設を周り1つ1つにキャッチコピーをつくって、改善ポイントをプレゼンしていったそうだ。
お金が無いために今あるモノをどう使うか。それがコンセプトだった。
そこでとったのが、キャラクターの「夕張夫妻」を発表していくにあたって以下を考えていったそうだ。
- 目的を明確にする
- 最終目標を明確にする
- 具体的なアイディアと展望を発表する
これを正のスパイラルとして、夕張内でプラスに動いてくれる企業などを探していったという、
結果、その日のうちから各メディアで取り上げられ、自虐ネタであったことが大きなアピールとなった。
そしてその後、日本一人口の少ない町であるが、逆に不倫率の低い町でもあったため、「愛」とかけて「夫婦円満の街として更なるアプリーチに変えて、PR展開をもとにキャラクター作り、新しい街作り、それを実現して行く基本やスキームをつくってきた。
結果としては露出の広告換算費は1億5000万円(実質約500万)、環境客は14%増。負債のうち30億円を返済した。
これによる広告のあり方というのは、全てをメディアの段階から考えていく発想し、人ごと・自分ごととして発信することが重要。
PR側としては、企画・戦略の段階でこそPRの発想をいかすべきだと実感したそうだ。
最終的には、広告もPRも目指すところは同じである、それをどう伝えていくか、その手段はそれぞれにいろいろあるので、両者のコミュニケーションが重要だという。
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